神奈川工科大学のKAIT工房を見学した。
妹島和世さんとこ出身の石上純也さんが設計したもので、
建築物としてはこれが処女作だ。

これまで、テーブルや四角いふうせん(←東京都現代美術館にて展示されていたもの)など
インスタレーション作品で話題をかっさらっていた石上さんだが、
それらがあまりにも素晴らしかったため、正直、建築でインスタレーションを
凌駕できるほどの作品をつくれるのかどうか、半信半疑だった。

もうね、入った瞬間から、ガーーーーンと。大ショック。
全面ガラスのボックス。
太い柱はひとつもなくて、建物の中にひょこひょこと細い柱が
立っているんだけど、それらの向きや太さがランダムで、断面が
長方形だったり正方形だったりイロイロで。
その理由は、細いたくさんの柱で建築をモたせるため、という構造上の
ものではあるけれど、その光景たるや、猛烈に身体感覚に訴えかけてくる。

柱のランダムさがグリッドを消失させるから、長方形の建物の
中に居ても、向きや位置の感覚から解放されてしまう。
一歩歩き出すだけで、柱たちの見え方がグワーっと変わっちゃうから、
同じ風景がどこにもない。木立の中を歩くよう。
しかも柱が密な部分と抜けてる部分とが、やんわりと用意されていて、
その曖昧さも、森のよう。
藤本壮介さんの言う「森なるもの」「曖昧さを曖昧なままカタチにする」
という感覚を、この建築で初めて、体感できたような気がする。

あー、なんだこれ!こんなの初めて!!!

床置き型の空調機が、これまたランダムに、そこいらにドカドカっと
置かれていて(さっきからランダムランダムって書いてるけど
もちろん全部、ほんとはちょー緻密な計算づく。怖いくらい!)
工房の作業机とか工具とか、そういうのも同じようにドカドカっと
置かれていて、なんかもう、カッコいいものも悪いものも、
ひとも植物も柱も建物も、全部等価になってしまうような空間。

「居心地いいな」「こんなとこに住みたいな」と転換できるものというより、
工房としてのみ成り立つストイックさが、とにかく痛快だ。
初めて見る工房だけど、一番工房らしいと感じてしまう、そんな工房。

工房の本質、建築の本質、そんで中に入った時のこの身体感覚!
それら全部を、ほんとに計算し尽くして実現させてしまっているのだ
としたら(って多分ほんとにそうなんだろうけど)マジですげえ。
これは建築の歴史に残る作品になると思う。いやほんと。
誰にとっても、これまでの概念上にない空間。
そしてそれは、工房でしかない。そんな贅沢でストイックな空間。

テーブル、四角いふうせん、そんで今回のKAIT工房…
石上さんのやりたいことは常に一貫してるけど、一方でひとつひとつの
作品の絶対的な存在感があって、次の作品がどう展開されるのかが
まるで読めない。なんだか毎回、金字塔をたててるように見えるのだ。

どうなっちゃうの次回作!
もーすっごいワクワクする。
住吉の長屋のころの安藤さんって、みんなにこんな衝撃を
与えてたんだろうなー。

写真おにのように撮りまくったけど、見学会で手渡されたビラには
ホームページなどに掲載しないように、とのお達しが。
ハア、いかにも石上さんらしいや・・・ガックシ。

しょーがないから公式サイトのリンク貼っとくね
http://www.kait.jp/~kaitkobo/
って、こんなCGしか流通しないっていう方がどうかと思うよ!

こういうメディア露出の厳しさは正直面倒に感じるし、
今日のKAIT工房だってメンテどんだけかかるんだろうとか思うけど、
なんかもう、そんなことどーでもいい!と思えてしまうくらい、
夢中になりました。一ヶ月くらい後遺症が残りそうです。
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