Title: [ mobile_motoko.T ] 墨田区北斎館(仮)基本設計プロポーザルコンペ公開二次審査に行ってきた!(後編)
Date: 2009.03.23 Monday + 00:00

さて、10組中7組のプレゼン+質疑応答が終了。いやしかし、プレゼンも質疑応答も見れば見るほど、それはまさにプロレスなのでした。まずプレゼンでは自らの魅力をキャラ化しながら短時間に効果的に伝えなくてはいけない。また質疑応答では、審査員の突発的な投げ技に対して、その力を全身で受け止めた上で自分の力へと転化しなくてはいけない。ここで相手の技を受け止めるだけだったり、うずくまったり、避けたり逃げたりしては、リング上でブーイングを浴びるだけです。目が離せない一挙手一投足は残り3組。2回目の休憩時間のあとプレゼンに回ってきたのが、展示されていた10作品の中でも、最も密度が薄いボードを提出した建築家。そして、その建築家の登場とともに会場はざわめくこととなります。

<今回は公開二次審査の模様の後編をお届けいたします。後日、私見分析編などもアップする予定です>
(※当日、会場に行かれた方など、御意見あればお気軽にコメント欄へ書き込みをどうぞ。)
■8:妹島和世|妹島和世建築設計事務所
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
世界の妹島さん、颯爽と入場であります!
もうね、会場の空気が変わっちゃうよ、審査員の皆さんも含めてね。
実際、質疑応答でも現実的で細かい質問が多かったし。
ハハーンこりゃあひょっとすると、という予感が走ります。
大小5つの台形のボリュームが部分的についたり離れたり
している建築。角度を変えるといろんな見え方になる。
内部では、断面は単純な積層だけど、平面で見るとゆるやかに
空間が分かれていて、展示の企画によって使い方を変えるような
フレキシブルな対応が可能である。
外壁はアルミでできていて、周辺の風景をやんわり反射する。
1Fにカフェがあり、ギャラリーのボリュームとカフェとの間は
公園と北斎通りを行き来できる抜け道とする ・・・という案。
現実味、実現可能性 VS 新鮮さ、独創性や個性
単純さ、使いやすさ VS 造形的な美しさ、表情の豊かさ
世界的観光地としてのシンボル性 VS 地域貢献のための機能性
展示物を守るため暗く VS でも閉鎖的ではない透明感
というような、相反した要素を併せ持つバランスが絶妙。
どっか抜きん出てるというより、いろいろ考えてみればみるほど
妹島案はいろんな意味で現実的なんです。
世界的観光地を目指すにあたっては、もー妹島さんのネームバリュー
だけでも有り難過ぎるくらいだし、ギャラリーの実績も十分ある方だし、
江戸博という墨田区の「現代建築の黒歴史」を孫弟子が返上するという
アングルもおいしいし(それあんま関係ない?いやあるよね?)
墨田区が頭を下げて指名しても、何らおかしくないってもんです。
藤森照信氏のいうところの「白派」と、北斎との相性もバッチリじゃん?
(なので個人的には今回のコンペ、石上純也さんの提案が見たかったのよね)
ちなみに妹島さんのプレゼンは、ごく淡々としたものでした。
プレゼンシートも、薄!って感じ。文字数も一番少なかったんじゃないかと。
(「あ、これ妹島さんのかな?」とシート見て感づいた人も多かったんじゃないかな)
だからと言って、余白や間で印象づけを狙うだけ、というわけでもなく。
ただただ、求められている内容の要点をシッカリ抑えていて、リアリティがあって、
人を魅了させる造形的な色気や新鮮さがある。
非常にベーシックなところに、ちゃんと着地しているんですね。
妹島さんの「静かなる凄み」を思い知らされた次第です。
■9:小川晋一|小川晋一都市建築設計事務所
ガラス建築の名手(あくまで私見です)、小川晋一さん。
ガラスの長方形の、ごくごくシンプルなボリューム。表層には、遠くから見ると
絵として認識できるくらいの大きさのドットで、北斎の作品がプリントしてあります。
白〜透明ながら北斎アピールも兼ね備えているわけです。
ガラスのファザードの内側では、可動式の壁によって遮光したり開放したりできる仕組み。
ごめんなさい、発表でわかったことはこのくらいです。
空調は?構造はSRC?それとも鉄骨?火災や地震への対策は?地域性は?
などなど、質疑応答タイムでは審査員からもあらゆる方向からの質問が。
それってむしろ質疑応答タイムにプレゼンの続きが出来るわけだから
見方によっちゃおいしい流れだと思ったんですが、
「まさか通ると思ってなかったんで…」って!二次審査なのに!
■10:奥野公章|奥野公章建築設計室
トリは、プレゼンシートでも気になっていた奥野案。
なんと構造は、代々木体育館の構造設計を担当した川口衛先生です!
これにはシビレまくり。川口先生がいらしたからには、もーどんなカタチだって
建築として成り立たせてしまうはず。
これは強い、強過ぎます。発表にも自ずと期待がかかるってもんです。
籠のような構造体に、やわらかなものを被せて成り立つ繭型の建築。
垂直コアが一個だけ立っていて、それだけでスラブを支えています。
浮島と名付けられた極厚スラブは2枚、宙を浮くように存在し、
内部をスタッフルームや特別展示室として利用、スラブの上は無柱の大空間。
繭の外殻から透けるやわらかな光をうける大空間は、日本的なほの明るさの中で
北斎を鑑賞するスペースとなっています。
が、私の理解力があまりに乏しかったせいか
「外側は結局、何を被せていたんだ?」「開口は?」「断熱や遮音は?」
「えっ内側もう一枚、パンチングメタルで囲うの?それってどういうこと?」
などなど、全く解決できない謎ばかり・・・
奥野さんのプレゼンはハキハキと元気で好感度が高く、しかも
川口先生の後ろ盾があるのなら、もー怖いものナシじゃないかと思うんだけど、
リアリティにも美しさにも、あと一歩、という物足りなさが残りました。
>>>
発表ごとに誰が出てくるかわからない、開けてのお楽しみだった
墨田区北斎館(仮称)公開審査。
アメリカのドラマ、サバイバーのような形式(古いか)だったので
始終ドキドキです。北川原さんが出てきた時は、後ろの席のおじさまが
「ほほう、北川原さんか…」と有り難そうに呟く声が聞こえてきたり。
個人的には、柳澤さんが出てきた時には嬉しくて、猛烈にワクワクしたり。
しかし何といっても、妹島さんの登場には、場の空気感が一変します。
10組ものプレゼンで8番目と、だいぶ後半での登場だったので
客席も明らかに疲れが見えていたところ、いい喝にもなったわけです。
多分クジビキで発表順が決められたと思うんですが、結果的にこの順番
すごくよかった。
「おおお!誰の発表かもわかんねえ公開審査に、賭けで来てみてヨカッタ!」
「最後まで居残った甲斐があったな」
「妹島さん一体どんな問題作を出してくるんだっ、来るなら来いっ!」
(↑あくまで私の妄想です)
というような心の声のどよめきと共に、
ピシーっと水を打ったように雰囲気が引き締まります。
選ばれし者だけが上がれる、四角いジャングル。
公開審査とは自己プロデュース力と求心力の強さが求められる
まるでプロレスそのものなんですね。
プレゼンの段階でやれることなんて、妹島さんだろうが誰だろうが
限られています。しかしそのリミットというものをメリットに転換
できるかどうかというところが、勝敗を左右するわけです。
柳澤さん、北山さん、妹島さんあたりはホント、もうこのひとに
任せちゃえばいいじゃない!って思えてくるくらい。
妹島さんは、淡々としているものの始終ブレることはなく、
決して喋りが得意そうではないのに、「喋りベタ」などという
負の印象は与えません。
内容も与件を汲み取った、至極現実的なものとしてまとめあげており、
しかも圧倒的な造形美と華々しい経歴という、黙っていてもついてくる
武器すら携えているわけです。
常にエッジィな予感が漂う、前田日明のような存在感。
(柳沢さんはリーダーシップとクレバーさから蝶野を思わせるし、
北山さんはベビーフェイスの典型、藤波って感じでした。例えるならば。)
もしかしたらプロレスと同様、公開審査も
「強さ、善さ、印象深さ」=「勝利」とはならないのかも知れません。
しかし少なくとも、何らかの魅力や武器がなければ、勝利には
繋がらないことだけは確かです。
あとプロレスついでにいうと、やっぱプレゼンで何らの魅力を
感じさせてくれた建築家は、不利な質問、苦手な質問がきても
全く動じない!!!
妹島さんなんて、苦手そーな質問ほどスマイルで返していたくらいですよ。
北川原さんも「はい、そのご質問についてお答えいたします」と
スマートに受け答えする、ダンディな姿がすごく印象的でした。
墨田にあんな紳士はいないよ!ってくらい。
北山さんも、言い間違いを指摘されても慌てずに、前向きな話題へと転化。
つまり質疑応答タイムとは、この人は窮地に立ったときどうするのか、
という人柄がモロに表れる一瞬でもあるわけです。
カーっとなって怒るとか、慌てるとか苛立つとかキョドっちゃうとか、
デキる人はそういうダメな表情を、こういう場では全く見せないんですね。
それどころか、むしろ窮地を利用して自分のプレゼン時間の一部に
してしまう勢い。プロレスで言うところの「受けがうまい」ってやつです。
自分の発表10分、質疑応答20分。
これをPRタイムとして30分フル活用できるのかどうか。
自分の発表時間すらまともに使えない、しかも質疑応答では
たじろぐばかり、なんてことじゃ確実にアウトです。
コレ、学校の講評会なんかでも大事なポイントだと思いますよ学生の皆さん。
YGSAの北山さんはともかく、東洋大の奥野さん、工学院大の澤岡さんには
大変失礼ながら、どうしても審査員との関係性を意識せざるを得ない。
コネクションだろう、と決めつけるつもりもないし、仮にそうだとしても
それを糾弾したいわけでもない。指定校推薦みたいなものだし、
二次審査に残る程度のことは、全然アリだと思うんです。
ただどうせなら、穿った見方をした私って低次元だったわ!
この汚れた心の、バカバカバカ!!!と強く反省させられるくらい、
圧倒的な魅力を持った案が見たかった。
大学関係などで、「偶然にも」審査員と縁があるコンペに参加する場合は、
縁故関係なんか忘れさせるくらいの案で挑んで欲しい、と思うのです。
そのレベルに到達できないようなら、指定校推薦枠をカラのままにした方が
学校のためというものです。
次の機会で頑張ればいいし、コンペで勝つことだけが功績、貢献ではないし。
そんなこんなで、一般市民として見た限り、今回の公開審査の時点では
妹島さんが一歩リード、という印象を受けた次第です。
今回のコンペは、質疑応答の後、公開審査をもって
結果が発表されるものではありませんでした。
この後、クローズドな形で審査が進められ4月中には発表されるそうです。
さて、結果は如何に!?
一建築ファン、一両国ファンとして見続けていきたいと思います。
また、このコンペヲチシリーズは今後も続けていきたいと思います。
それでは、また!ciao.
*左は建築家によるコンペの勝ち方、経験にもとづいた方法論を語ったもの。中央は戦後、行われてきた建築コンペの中でも最もエポックとも言える都庁をめぐるコンペを磯崎新を中心としたドキュメンタリーでまとめられたもの。右はとあるアイデアコンペをまとめたもの。アイデアコンペと今回の実施コンペでは、やはり戦い方には大分差があるようだ。
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
世界の妹島さん、颯爽と入場であります!
もうね、会場の空気が変わっちゃうよ、審査員の皆さんも含めてね。
実際、質疑応答でも現実的で細かい質問が多かったし。
ハハーンこりゃあひょっとすると、という予感が走ります。
大小5つの台形のボリュームが部分的についたり離れたり
している建築。角度を変えるといろんな見え方になる。
内部では、断面は単純な積層だけど、平面で見るとゆるやかに
空間が分かれていて、展示の企画によって使い方を変えるような
フレキシブルな対応が可能である。
外壁はアルミでできていて、周辺の風景をやんわり反射する。
1Fにカフェがあり、ギャラリーのボリュームとカフェとの間は
公園と北斎通りを行き来できる抜け道とする ・・・という案。
現実味、実現可能性 VS 新鮮さ、独創性や個性
単純さ、使いやすさ VS 造形的な美しさ、表情の豊かさ
世界的観光地としてのシンボル性 VS 地域貢献のための機能性
展示物を守るため暗く VS でも閉鎖的ではない透明感
というような、相反した要素を併せ持つバランスが絶妙。
どっか抜きん出てるというより、いろいろ考えてみればみるほど
妹島案はいろんな意味で現実的なんです。
世界的観光地を目指すにあたっては、もー妹島さんのネームバリュー
だけでも有り難過ぎるくらいだし、ギャラリーの実績も十分ある方だし、
江戸博という墨田区の「現代建築の黒歴史」を孫弟子が返上するという
アングルもおいしいし(それあんま関係ない?いやあるよね?)
墨田区が頭を下げて指名しても、何らおかしくないってもんです。
藤森照信氏のいうところの「白派」と、北斎との相性もバッチリじゃん?
(なので個人的には今回のコンペ、石上純也さんの提案が見たかったのよね)
ちなみに妹島さんのプレゼンは、ごく淡々としたものでした。
プレゼンシートも、薄!って感じ。文字数も一番少なかったんじゃないかと。
(「あ、これ妹島さんのかな?」とシート見て感づいた人も多かったんじゃないかな)
だからと言って、余白や間で印象づけを狙うだけ、というわけでもなく。
ただただ、求められている内容の要点をシッカリ抑えていて、リアリティがあって、
人を魅了させる造形的な色気や新鮮さがある。
非常にベーシックなところに、ちゃんと着地しているんですね。
妹島さんの「静かなる凄み」を思い知らされた次第です。
■9:小川晋一|小川晋一都市建築設計事務所
ガラス建築の名手(あくまで私見です)、小川晋一さん。
ガラスの長方形の、ごくごくシンプルなボリューム。表層には、遠くから見ると
絵として認識できるくらいの大きさのドットで、北斎の作品がプリントしてあります。
白〜透明ながら北斎アピールも兼ね備えているわけです。
ガラスのファザードの内側では、可動式の壁によって遮光したり開放したりできる仕組み。
ごめんなさい、発表でわかったことはこのくらいです。
空調は?構造はSRC?それとも鉄骨?火災や地震への対策は?地域性は?
などなど、質疑応答タイムでは審査員からもあらゆる方向からの質問が。
それってむしろ質疑応答タイムにプレゼンの続きが出来るわけだから
見方によっちゃおいしい流れだと思ったんですが、
「まさか通ると思ってなかったんで…」って!二次審査なのに!
■10:奥野公章|奥野公章建築設計室
トリは、プレゼンシートでも気になっていた奥野案。
なんと構造は、代々木体育館の構造設計を担当した川口衛先生です!
これにはシビレまくり。川口先生がいらしたからには、もーどんなカタチだって
建築として成り立たせてしまうはず。
これは強い、強過ぎます。発表にも自ずと期待がかかるってもんです。
籠のような構造体に、やわらかなものを被せて成り立つ繭型の建築。
垂直コアが一個だけ立っていて、それだけでスラブを支えています。
浮島と名付けられた極厚スラブは2枚、宙を浮くように存在し、
内部をスタッフルームや特別展示室として利用、スラブの上は無柱の大空間。
繭の外殻から透けるやわらかな光をうける大空間は、日本的なほの明るさの中で
北斎を鑑賞するスペースとなっています。
が、私の理解力があまりに乏しかったせいか
「外側は結局、何を被せていたんだ?」「開口は?」「断熱や遮音は?」
「えっ内側もう一枚、パンチングメタルで囲うの?それってどういうこと?」
などなど、全く解決できない謎ばかり・・・
奥野さんのプレゼンはハキハキと元気で好感度が高く、しかも
川口先生の後ろ盾があるのなら、もー怖いものナシじゃないかと思うんだけど、
リアリティにも美しさにも、あと一歩、という物足りなさが残りました。
>>>
発表ごとに誰が出てくるかわからない、開けてのお楽しみだった
墨田区北斎館(仮称)公開審査。
アメリカのドラマ、サバイバーのような形式(古いか)だったので
始終ドキドキです。北川原さんが出てきた時は、後ろの席のおじさまが
「ほほう、北川原さんか…」と有り難そうに呟く声が聞こえてきたり。
個人的には、柳澤さんが出てきた時には嬉しくて、猛烈にワクワクしたり。
しかし何といっても、妹島さんの登場には、場の空気感が一変します。
10組ものプレゼンで8番目と、だいぶ後半での登場だったので
客席も明らかに疲れが見えていたところ、いい喝にもなったわけです。
多分クジビキで発表順が決められたと思うんですが、結果的にこの順番
すごくよかった。
「おおお!誰の発表かもわかんねえ公開審査に、賭けで来てみてヨカッタ!」
「最後まで居残った甲斐があったな」
「妹島さん一体どんな問題作を出してくるんだっ、来るなら来いっ!」
(↑あくまで私の妄想です)
というような心の声のどよめきと共に、
ピシーっと水を打ったように雰囲気が引き締まります。
選ばれし者だけが上がれる、四角いジャングル。
公開審査とは自己プロデュース力と求心力の強さが求められる
まるでプロレスそのものなんですね。
プレゼンの段階でやれることなんて、妹島さんだろうが誰だろうが
限られています。しかしそのリミットというものをメリットに転換
できるかどうかというところが、勝敗を左右するわけです。
柳澤さん、北山さん、妹島さんあたりはホント、もうこのひとに
任せちゃえばいいじゃない!って思えてくるくらい。
妹島さんは、淡々としているものの始終ブレることはなく、
決して喋りが得意そうではないのに、「喋りベタ」などという
負の印象は与えません。
内容も与件を汲み取った、至極現実的なものとしてまとめあげており、
しかも圧倒的な造形美と華々しい経歴という、黙っていてもついてくる
武器すら携えているわけです。
常にエッジィな予感が漂う、前田日明のような存在感。
(柳沢さんはリーダーシップとクレバーさから蝶野を思わせるし、
北山さんはベビーフェイスの典型、藤波って感じでした。例えるならば。)
もしかしたらプロレスと同様、公開審査も
「強さ、善さ、印象深さ」=「勝利」とはならないのかも知れません。
しかし少なくとも、何らかの魅力や武器がなければ、勝利には
繋がらないことだけは確かです。
あとプロレスついでにいうと、やっぱプレゼンで何らの魅力を
感じさせてくれた建築家は、不利な質問、苦手な質問がきても
全く動じない!!!
妹島さんなんて、苦手そーな質問ほどスマイルで返していたくらいですよ。
北川原さんも「はい、そのご質問についてお答えいたします」と
スマートに受け答えする、ダンディな姿がすごく印象的でした。
墨田にあんな紳士はいないよ!ってくらい。
北山さんも、言い間違いを指摘されても慌てずに、前向きな話題へと転化。
つまり質疑応答タイムとは、この人は窮地に立ったときどうするのか、
という人柄がモロに表れる一瞬でもあるわけです。
カーっとなって怒るとか、慌てるとか苛立つとかキョドっちゃうとか、
デキる人はそういうダメな表情を、こういう場では全く見せないんですね。
それどころか、むしろ窮地を利用して自分のプレゼン時間の一部に
してしまう勢い。プロレスで言うところの「受けがうまい」ってやつです。
自分の発表10分、質疑応答20分。
これをPRタイムとして30分フル活用できるのかどうか。
自分の発表時間すらまともに使えない、しかも質疑応答では
たじろぐばかり、なんてことじゃ確実にアウトです。
コレ、学校の講評会なんかでも大事なポイントだと思いますよ学生の皆さん。
YGSAの北山さんはともかく、東洋大の奥野さん、工学院大の澤岡さんには
大変失礼ながら、どうしても審査員との関係性を意識せざるを得ない。
コネクションだろう、と決めつけるつもりもないし、仮にそうだとしても
それを糾弾したいわけでもない。指定校推薦みたいなものだし、
二次審査に残る程度のことは、全然アリだと思うんです。
ただどうせなら、穿った見方をした私って低次元だったわ!
この汚れた心の、バカバカバカ!!!と強く反省させられるくらい、
圧倒的な魅力を持った案が見たかった。
大学関係などで、「偶然にも」審査員と縁があるコンペに参加する場合は、
縁故関係なんか忘れさせるくらいの案で挑んで欲しい、と思うのです。
そのレベルに到達できないようなら、指定校推薦枠をカラのままにした方が
学校のためというものです。
次の機会で頑張ればいいし、コンペで勝つことだけが功績、貢献ではないし。
そんなこんなで、一般市民として見た限り、今回の公開審査の時点では
妹島さんが一歩リード、という印象を受けた次第です。
今回のコンペは、質疑応答の後、公開審査をもって
結果が発表されるものではありませんでした。
この後、クローズドな形で審査が進められ4月中には発表されるそうです。
さて、結果は如何に!?
一建築ファン、一両国ファンとして見続けていきたいと思います。
また、このコンペヲチシリーズは今後も続けていきたいと思います。
それでは、また!ciao.
*左は建築家によるコンペの勝ち方、経験にもとづいた方法論を語ったもの。中央は戦後、行われてきた建築コンペの中でも最もエポックとも言える都庁をめぐるコンペを磯崎新を中心としたドキュメンタリーでまとめられたもの。右はとあるアイデアコンペをまとめたもの。アイデアコンペと今回の実施コンペでは、やはり戦い方には大分差があるようだ。