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「いいビルの写真集」

名タイトルですよね。
いい。しかも、ビル。
ここまでそぎ落とした肯定表現を堂々とする
建築書が、他にあったでしょうか。
もはや、その定義を問う気すら失せる。
いいものは、いい。
そんなシンプルな気持ちにさせてくれます。

私は、そんなシンプルな気持ちで建物に接することも、
接する人々のことも、大好きです。
だから、この本を一目見たときから、この本の著者の
虜になってしまいました。

著者は、ビル愛に溢れた5人組、BMC。
彼らはさらに「月刊ビル」というミニコミ誌を発刊し、
「いいビル」に拠点を構え、「いいビル」で年に一度
大イベントを開催し、多くの人と「いい」を分かち合う。
そうやって、「いいビル」に現在といういのちを
吹き込んであげることまで実践してしまう
(彼らはこれを「いいビルの使い方」という)
すてきなすてきな、ビルアクティビスト。
本書は写真集という側面を持ちながらも、正確に言うと
彼らの活動の履歴、視点の軌跡が辿られた、記録書です。

本の中では、大阪のビル20が厳選されています。
昭和の、いわゆる「いい時代」に建てられたものが
ほとんどです。
だけど彼らは、「今それがある」ことを謳歌する。
だから、ふしぎと懐古主義には陥らない。
ただ、放っておくとなくなっていくものに対して
「いい」の一言で、放っておかなかった事実を記す。
そのちからの強さといったら!

いいじゃない、「いい」で。もとい、「いい」が。
建築鑑賞とは何か、鑑賞の次にすべきことは何か、
考えることは何か。
決してそれは、お堅いことではなく、建物と一緒に
楽しい時間を過ごす、ただそれだけの「いい」こと。
建物と人との関係を提案してみせる、
上質で奥深い一冊です。ぜひぜひ、手にとってみて!

たなかもとこ/mosaki

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